オットと私の会話はほとんど日本語で、私もなるべくオットが知っている範囲の語彙で会話が収まるようにしている。
オットはオットで、自分(オット)の日本語なら何でも私に通じると思っているところがある。
しかしとても時代遅れな言葉だったり、間違って覚えている言葉だったりすると会話がそこで休止状態になって、お互いにストレスを感じてしまうことも。
それと、日本語がわからないときや難しい日本語のときは英単語で言ってみることもある。
特に特殊な名詞名称などは英語で『これで合ってる?』などと確認することが多い。
山岳少数民族のことで、日本人だと『首長族』とか『カレン族』がギリギリ知っているかどうかというところだろうけど、他にもモン族、アカ族、リス族、ラフ族などがある。
そういった山岳少数民族を英語では HILL TRIBE と表す。
しかしカタカナで『ヒルトライブ』と書いても日本人でタイに於けるその意味を理解できる人はそれこそ少数だと思う。
TRIBE 自体はそれほど難しい単語ではないけれど、私の記憶では義務教育の教科書には載っていなかった。(記憶違いかな?)
だけどチェンマイに住むオットにとっては山岳少数民族はわりと身近な存在なので(町の中にモン族の布小物を売るための市場があったり、定期市にも露店を出していたりする)、何の気なしに『ヒルトライブの博物館がね、~』と私に言った。私は何秒か考えてから『あ、山岳少数民族をそういうふうに言うのね』と追い付く。
今でこそ芸能界に○○トライブというグループがあるので『トライブ』という言葉は日本国内でやや耳にすることにはなったけれど、もしかしたらそれは単なるグループ名で、意味のない言葉だと思っていたり、その意味を認識していない人のほうが多いかもしれない。
それと、タイ語では『地球』と『世界』は同じ言葉で表すために、オットは『ロケットが世界に帰ってきた』のように言ってしまうことがある。きっとタイ語で会話をする上ではEARTHもWORLDも一括りで問題ない程度の言葉なのだろう。
タイ語は語彙数が少ない言語だと言われているし、動詞の過去形の変化はないし、一人称が省かれたりするので、物事を正確に伝えられる言語とは言えないし、会話はかなり想像力を働かせないと的確なところまで理解ができない。
かと思えばオットの娘は中学生のときの宿題の課題が『人身売買について』だった。私はてっきり臓器の売買のことかと思ったらそうではなくて、親が自分の子供を身売りに出すことや性的な人身売買のことだった。それがTRAFFICKINGという英単語。中学生の授業でその英単語を題材にした課題を出すということは、平凡に暮らしている市民の中にもその手の問題があるということではなかろうか。
日常によくある言葉でも、国(環境)によって意味合いがいろいろだなぁ、と思った次第。