チェンマイよりみちの記録

タイ・チェンマイに寄り道する人生を選択した個人の記録です。私、ヨリミチ(仮名)が日本やタイからお届けします。

やはりあの人だった人のこと

先日の記事の、名無しでメールを送ってきた人のこと。

https://c-m-yorimichi.hatenablog.com/entry/2022/02/07/235813

オットに『〇〇さん』という名前で言ってもその名前を覚えていない可能性もあるので、私は『1人でスコータイに行った人』というコメントを付け加えた。
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これはオットから聞いた話で、その人がチェンマイ滞在中にまさに文字どおり『1人でスコータイに行った』のだ。
オットは後にも先にも1人でスコータイに行った日本人はその人しか知らず、そもそもあの年齢でその行動をするというのは常識外れというか無謀というか、危険極まりないので、それを知ったオットは驚きを通り越して呆れてしまったのだ。

たしかにあの人は、ケチだった。
でも寺院巡りは好きなようで、チェンマイ市内でも徒歩で行けるところには徒歩で行き、旅行仲間には『あっちにも行ったしこっちにも行った』と言っては自慢をしていた。
それはそれで良いことだとは思うけれど、タイ語はもちろん英語の読み書きもあやしい人がチェンマイのお寺を観光するとなると、そのお寺の歴史や特徴などを理解するのは難しい。
でも、その人にとっては『行ったこと』が重要なわけで、現地で写真を撮ったりパンフレットを入手したりすればミッション達成ということなのだろう。

スタンプラリーだと思えば、それも有りかもしれない。

そのノリ(?!)で、その人は長距離バスを使えばチェンマイからスコータイまで行けることを知って実行に至った。本人は『バスを乗り継いで』という言い方をしていたので、チェンマイの大型バスターミナルからスコータイのバスターミナルまで行き、そこから現地のタクシー(ソンテウ = 乗り合い小型トラック)を使ったのだろう。
ちなみにチェンマイ発着の日本語ガイド付き日帰りスコータイ観光ツアー(博物館入場と、遺跡を何ヵ所か巡り、昼食も含まれる)だと1万5千円くらいの料金だと思う。
それを自力で往復して安く済ませようと思ったらしい。
だけどタイの路線バスは時刻表なんてあてにならないし、車両の故障や交通事故は日本とは比較にならないくらい多い。
たしかにそういう手段を使えば3000円くらいで往復はできるけれど、スコータイのいわゆる遺跡郡は市内からは離れた場所にあるし、見学する価値のある寺院跡は無数にある。
果たしてその人がどこを観光してきたのか聞いていないのだけど、オットの意見としては『スコータイを1時間くらいしか歩けなかったんじゃないの?』とのこと。

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↑よくあるタイプの長距離バス
ソンテウ(バスもソンテウも他の街で撮影したもの)
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その当時、チェンマイからのバスは7時台が始発でスコータイまで6時間。帰りも同じ時間がかかるとして、最終バスがそんなに遅くまであるとは思えないので午後4時とか5時には帰りのバスに乗ると仮定。スコータイではソンテウをチャーターで使うとして、乗る前に交渉しなければならないし、この日の昼食をどうするかという問題も。私の想像ではその人はソンテウをスポットごとに使ってその都度数十バーツを払うつもりでいたと思うのだけど、遺跡地区に行ってしまったら流しのソンテウはほぼない。遺跡公園内のソンテウ乗り場(基本的には市内との往復用)はあるけれど、遺跡地区の城壁内は観光客はトラムかレンタル自転車でしか移動できないし、城壁外にも見るべき遺跡はある。そういうところまでの移動を公園内のソンテウに細々相談をして移動するよりは、バスターミナルからソンテウをチャーターして自分の目当ての場所を巡るほうが時間の無駄がない。
バスターミナルで出会った最初の運転手からそういう助言をされると思うのだけど、その人がそれをどこまで理解できるのか。理解できたとしても『チャーターさせるべくほらを吹かれているかもしれない』なんていう考えをして別の運転手のところに同じことを聞きに行くかもしれない。そこで貴重な時間を消費して、最終的にはスコータイでの数時間のために数百バーツを払ったんだろうな、と思っている。(本人に確めたわけではなく、完全にヨリミチ的想像。)

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スコータイの遺跡郡は遺跡のひとつひとつが大きいし、場所によっては入り口から仏塔までが遠かったり急な階段だったりで往復するだけで20分くらい必要なところがあるし、ラクに撮影スポットに辿り着ける遺跡でもその奥に行って全容を見ようとすると予想以上に時間がかかったりもする。
なのでその人はどこか一ヶ所に狙いを定めて(?!)見学をしたのかもしれないし、もしかしたら遺跡郡ではなくて市街地にある、市民が日常的に行っているようなお寺に行ったのかもしれない。

まあそれでも『スコータイに行った』というのには違いないので『あぁ、そうですか』という感じなのだけど。
日本で例えるとすれば、都内から長距離バスで仙台に行き、仙台城(青葉城)の広場の伊達政宗公の騎馬像のところで記念撮影をして、駅前に戻って取り敢えず牛タンを掻き込んでまた長距離バスで帰って来る、みたいなことか?

実はスコータイ遺跡郡のエリア内で、2007年に単独行動の日本人女性が殺害されるという事件が起こっており、未だ犯人が特定されていない。当初こそ細かな捜査が行われただろうけど、今となっては迷宮入り状態になっている。数年前までは定期的に捜査が行われていたと聞くのだけど、コロナ禍となってからはそれも難しいのではなかろうか。

そういう事件もあるのだから『チェンマイでは現地の皆さんは日本人(=自分)に優しいよね』などという気持ちのままで見知らぬ街に行くのは非常に危険。
ある程度言葉を使えるとか、見るからに屈強な人物なら風まかせの旅を楽しむのも有りだろうけど、あの人は・・・
強盗に『金を出せ!』と言われたとしても出し惜しみをしそう(バッグから財布を出してそのまま渡さず、お札の枚数までケチって差し出しそう)だし、バッグを奪われたら犯人の特徴を記憶しよう!というよりもバッグにしがみついて大怪我をしそうだし。

そんな武勇伝(と本人は思っている)があるので、オットは『スコータイに1人で行った人』というヒントで解ってくれた。

で、その名無しメールの送り主も、やはりあの人だった。

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