昨日の夜になってタイでニュース速報が流れた。
新型コロナウイルス感染者が500人以上確認されたというもの。
事の発端はバンコクの海寄りの隣県、サムットサコーンのエビを扱うお店の人から感染者が出て、それからそのお店でエビを仕入れるために日々出入りしていたバンコクの女性の感染が確認されたということ。
それでその周辺の人々2000人くらい(と報道されていた)のPCR検査をしたところ、548人の感染が確認されたらしい。
それが大きなニュースになっていて、そもそもはエビ販売のミャンマー人から感染がはじまったのではないかということで『ミャンマー人』が悪者のようになっている。
私は最初に『市場のエビはミャンマー人が運んできたのか?(ミャンマーからの移動でウイルスも運ばれてしまったのか?)』と思ったのだけど、輸入するとすれば地理的にちょっとおかしい。実際は輸入ではなくて、サムットサコーン県の海でエビ漁をしているのがミャンマー人なのだということ。
それならいくらミャンマーで新型コロナウイルス感染者が増えているといってもミャンマーからの人や物の移動が直接的な原因とは言い切れないし、たまたまコロナウイルスに感染したのがその市場に関係するミャンマー人で、そのコミュニティーの中で感染が広まった(いわゆるパンデミック)のではないかと思うのだけど。
つまり(重労働をしたくない)タイ人がミャンマー人を雇ってエビ漁をさせ、仕分けなどをさせて市場の陳列台に大量のエビが並ぶというシステマチックな流れの中で大勢のミャンマー人が汗を流していて、船で出る漁なら必然的に他人との距離は近くなるし、仕分けなどでも隣り合って座ることもあるだろう。市場なら大声でコミュニケーションを取る場合もあるだろうし。そういう労働環境なら飛沫感染もあり得る。
だけどそういうミャンマー人のおかげでエビによる利益を得ている社会構造なので、私はミャンマー人を責めようとは思わない。
もちろん不法入国・不法就労でそこにいるミャンマー人は責めを負うべきだけど、コロナとは切り離して考えるものだと思う。
この市場はタイ人よりもミャンマー人の住民のほうが圧倒的に多く、今になって500人以上の感染者が確認されるということは、今までだって感染者が継続的に存在していたのかもしれない。だけど不法就労者だからとかタイ人ではないからといった理由で病院にかからずに完結しているパターンもなきにしもあらずではないのだろうか。
時を同じくしてアユタヤの女性が新型コロナウイルスに感染しているのがわかったのだけど、こちらはエビ屋とは別ルート。
アユタヤとバンコクはそれほど離れていないので、てっきり海鮮市場と関係あるのかと思ったら・・・
彼女はタイ北部のチェンライ県と国境を接しているミャンマーの街で働いていて、体調不良をおぼえたらしい。
それでタイに戻ることにしたのだけど、チェンライの国境は今は警備が厳しくて不法入国で捕まる可能性がある。なのでどのような手段かで西に向かって移動して、チェンマイ県の向こう側まで来たところで川を渡り越境したのだとか。そのときに警備員がいたのだけど賄賂を渡して越境をなかったことにして町中まで出て、そこからバンコク行きの長距離バスに乗ってバンコク手前のアユタヤに帰着。
体調が悪いのは自覚していたのですぐに病院に行ったら新型コロナウイルス感染が判明、ということらしい。
タイ政府は空路入国者にはタイ人・外国人を問わず入国後14泊の強制隔離を課しているので、そこで入国者の感染がわかれば『海外由来の感染者だ!』と発表して何ヵ月間も身の潔白をアピールしていたけど、ここにきて陸路の入国管理がかなりザルだったということが明るみに出てきてしまったように感じる。
エビのお店がある海鮮市場は早速消毒され、サムットサコーン県はロックダウンされたとのこと。
ついでに市場周辺のミャンマー人の労働許可証の有無を調べて不法滞在者を一掃すればいいんじゃないかと思うけど、どうなんだろう。