チェンマイよりみちの記録

タイ・チェンマイに寄り道する人生を選択した個人の記録です。私、ヨリミチ(仮名)が日本やタイからお届けします。

残りたいけど帰ってくる人

私はコロナ騒動が始まってすぐに日本に戻って来たけれど、まだ現地に残っている知り合いもいる。
私の場合はその時点でまだ領事館に在留届けを出していなかったし、加入していた医療保険は旅行保険の範囲で、その期限が4月中旬までだったので終了時期に新たな保険に加入することを考えてもみたのだけど、新たな保険で新型コロナウイルス感染症もカバーできるのかどうかがはっきりしない時期だったので調べるのも大変で、そんなことをしているうちに感染してしまったら困る、というのもあって早いうちに日本に戻ることにした。
タイ人の家族としての居住ビザは無事に取れていて、タイミング良く再入国許可証も受領していたので渡航許可が出る優先順位は早いだろうという憶測もあったので。

しかし昨年の夏頃までは、リタイアメントビザでタイに滞在している人は再入国許可証を持っていても一旦タイから出国してしまうとビザの期限内にタイに戻ろうと思っても渡航の許可が出ない可能性があったので、タイから出るという決断をしない人もそれなりにいた。

知り合いの男性は年間のほとんどをチェンマイで過ごしており、何度かの引っ越しを経て今はお気に入りの部屋に落ち着いている。私もおじゃましたことがあるのだけど、有名な寺院を望める、贅沢な眺めのある部屋。その人は日本でも家や車を所有しているので定期的に日本に戻っていて、昨年は4月頃に一時帰国の予定だった。しかしコロナ禍の影響で帰国日を先送りして、9月にしようかなぁと言っていたのだけど、それも延期。

先日、チェンマイで日本人男性が2名新型コロナウイルスに感染しているのが判明したときにオットがその人のことを心配して電話をしてみたら、感染してしまった男性2名は見ず知らずの人だったし、多分行動範囲も被っていないのでコロナに関しては大丈夫だろうということだった。
そこでオットが知らされた新事実があった。
それはその人が2月の終わりに一旦日本に戻るということ。再入国のハードルが高いので本当は戻りたくないのだけど、でも日本に行かなくてはならないとのこと。

というのは、私がまだチェンマイにいた3月のこと。ある日オットにその人から電話がかかってきて、その人の友人が熱があるので次の日に病院に付き添ってもらいたい、ということだった。だけどちょうどそのときは新型コロナウイルスが猛威をふるい始めていた頃で、オットも会社からいろいろなお達しがあり、空港や病院に出入りしたら2週間自主隔離する、くらいの生活だった。なので本来の仕事でもないし親類でもない人のために病院に行くことはできないとお断りしたのだ。

おそらくそのご友人は日本語通訳のいる病院に行ったのだと思うけれど、発熱はコロナではなかったものの、他の病気がみつかったそうで。
その後入院となり、昨年の夏に亡くなったとのこと。その人は独居だったのだけど、コロナの影響で日本の身内は誰も来られなかったらしい。
ということで、我々の知り合いの男性が病院の手続きや、領事館や日本のお身内とのやり取り、住宅や荷物の後始末までやって、遺骨も預かった。なのでその人は半年ほどご友人の遺骨と同居中。
きっと今度の一時帰国はその遺骨や遺品の受け渡しが第一の目的で、すでに航空券と帰国後のハイヤーも手配済みと言っていた。

こういう状況下で、もしも知り合いが遺骨の預かりや持ち帰りを受け入れなかったらどういうことになっていたのかはわからない。ご友人が最期に親族に会うこともなく亡くなられたのは残念だけど、それでも日本に連れて帰ってもらえるというのは恵まれていると思う。

知り合いはきっとチェンマイの部屋の家賃を払い続けながら日本に滞在するのだろう。いつになるかわからないけどなるべく早くチェンマイに戻りたいと言っていたから。
日本もタイもコロナ収束の兆しがなかなか見えないけれど、今は一時期よりもタイに渡航する際のハードルが下がっているので、なんとかこのままの入国条件が続けばいいな、と思う。いや、もっと下がるのが理想ではあるけど。

PVアクセスランキング にほんブログ村