チェンマイよりみちの記録

タイ・チェンマイに寄り道する人生を選択した個人の記録です。私、ヨリミチ(仮名)が日本やタイからお届けします。

く、く、く、靴が~

先日の叔母の葬儀は家族葬というのか、ごく身内のみで執り行われた。
人数としては大人12人と子ども2人。
他に、時間などの都合があって短時間だけ顔を出してくれた人が5人。

場所は地元のセレモニーホールを使わせてもらい、初七日法要まで済ませた。
で、通夜の席で会場の床に不自然な足跡があることに誰からともなく『あれ、何・・・?』という話になり、言われてみればさっきまでなかったはずのおかしな足跡らしきものが点々と・・・。
よく見てみたら、叔母の連れ合い(つまりヨリミチの叔父)の靴底が、歩くたびにポロポロ崩れて黒いゴム片がフロアに落ちていたのだ。
3年半のコロナ禍を挟んで久々にブラックフォーマル用の靴を履いたらそんなことに・・・。
前日に靴を磨いたときにはまだ無事だったとのことなのだけど、実際に人が履いて歩いたら急激にダメージが現れたようだ。
それで叔父は会場のスリッパを借りてその場をしのいだ。

そして翌日。
同じ会場で告別式だったので集合場所に行くと、叔母の弟さんが『今朝靴を履いたら壊れちゃってさぁ。急いで別の靴を出したんだよ~。』なんてことで盛り上がっていた。
前日は他人の靴のことを笑ったのに、まさか自分も・・・なんて。

私はその笑いの脇を通り抜け、更衣室で着替えていたら、一足先に更衣室を出た母が『ヨリミチ~、ヨリミチ~!』と何か助けを求めるような声で私を呼んだ。
まさか、こんなときに体調でも悪くなった?!と思って焦ってそちらに行くと、『く・・・靴が壊れた・・・』。
どれどれ?と言いながらその靴を見たら、アッパーとソールの接着がダメになっていて、鰐の口のようにパカパカしてしまっていた。
母はただでさえ足首を悪くしているのに、靴がそんなふうでは更に足が悪くなってしまうかもしれない。なので事務室からガムテープを借りて粘着面を表にして輪っかを作り、それをパカパカのところに入れてみたのだけど靴底がポロポロになっているので鰐の口は閉じず。
お掃除用具のコロコロのテープのように靴底のポロポロを拾うだけでアッパーとソールを接着する物にはならなかった。
すると叔母の娘(ヨリミチのいとこ)が『おばさん(ヨリミチの母)の靴のサイズいくつ?』と聞いてきて、何事かと思えば棺の中に叔母の靴を入れてあるので、サイズが合えばそれを履いたら?ということだった。

告別式が始まる前に棺の蓋を開けてもらい、納めた靴と母の壊れた靴を交換してもらった。

その靴が、こちら。

右足首には黒ストッキングの上からベージュのサポーターを付けているのだけど、その色とコーデぴったり!?


棺の中の人と靴を交換して式に出る人なんて初めて見た~!などと言ってまた大笑い。
壊れた靴を入れられた叔母は『ちょっと、〇子さん(←ヨリミチの母)、これ壊れてるじゃないの!』と文句を言っているに違いない・・・。
でもおかげで母は告別式、火葬・集骨も無事に過ごすことができた。
靴が壊れたことに気付くのがあと10分遅ければ、叔母と靴を交換することもできなかったかもしれないのでこれはある意味奇跡。

叔母がお骨になってセレモニーホールに戻ってきて、散会。
昨日から靴のことでみんな大騒ぎだったね~。でも無事に済んで良かった良かった。
みんなもしばらくゆっくりしてね、みたいな和やかな雰囲気になってぼちぼち帰途につこうかというときに・・・

あーっ!
オレの靴が壊れたーっ!

と叫んだのは叔母の息子。

なんか知らないけど急に壊れたー!
とのことで、最後の最後は喪主の靴。

十数人のうちの4人の靴が壊れたコロナ禍明けの出来事は、これからも語り草になりそう。

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