チェンマイよりみちの記録

タイ・チェンマイに寄り道する人生を選択した個人の記録です。私、ヨリミチ(仮名)が日本やタイからお届けします。

コロナ禍の政府からの支援

日本では住民票登録がされていれば一律の10万円が政府から支給され、1世帯に2枚の布マスクも郵送される。

・・・が、私はまだ両方とも受け取っていない。給付金に関しては、申請用紙さえ届いていない。政令指定都市で人口が多いので何かと時間がかかるだろうというのは想定していたが、6月になっても何もないというのは・・・どうなの?

一方でタイはというと、3月下旬に『コロナ禍の影響で収入を断たれた人に5000バーツを3回にわたって支給します』というお知らせがあった。
タイは良くも悪くもスマートフォンでいろいろなことができてしまう社会なので、申請はスマホによる自己申告制。政府が『3月○日午後△時にウェブによる受け付けを開始します』という情報を発表したら、早まった民衆がその日の朝から地元の銀行に押し寄せて大騒ぎになった。これはウェブ申請反対の抗議ではなく、ただ単に午後を待たずに銀行に出向けば現金をもらえると早合点した人が殺到してしまったということ。SNSなどで『銀行に行けば早くもらえる』というようなデマが流れて、それを信じて行ってしまった人もいるはず。
タイ人の日常をちょっと冷めた目で見ていれば、このくらいは想像がつく。
で、その日の夜にウェブ受け付けが始まったわけなのだけど、オットは4時間くらい粘ったものの結局画面の最後までたどり着けず、その日は断念。翌日の午前中に申請を完了したらしい。

申請者は当初政府が想定していた人数の3倍くらいになってしまって、しかも全申請者が対象となるわけではないので、申請者がどういう職業で何年間働き、それまでの収入はどういう具合だったのか、他の内容も虚偽ではないか等の確認しなければならない。その後、条件に適合ということになれば個人の銀行口座に振り込まれるというシステムになっているのだけど、その申請内容のチェックはAIがやったらしい。
なのでスピード感があるというのか、ありすぎるというのか。
タイは国民全員がIDカードを持っていて、つまり日本でいうところのマイナンバーカードなのだけど、それで個人情報はある程度政府に握られている。だからウェブ申請とAIによるチェックが可能だということ。

それで申請開始から数日後、5000バーツをヒラヒラさせた画像をSNSにアップした女性がいて、『政府からの5000バーツを受け取ったのよ~』のような投稿だったらしいが、一説によればその女性、コロナ禍で失うような職に就いているのではなく、そこそこお金持ちの家の奥様なんだとか。それが嘘か本当かは私にはわからないが、AIを使った結果がそれ。

そして初日に申請をできたオットの仕事仲間にも振り込みが確認され、オットは自分の番を待っていたのだけど、なんとオットには『支給不可』のお知らせが。
しかし既に給付金を受け取っている仕事仲間数人はオットよりも前年度の収入が多い人たちなので、なぜオットが漏れてしまったのかがわからなかった。
どうやらタイ全土にオットと同じ状態になってしまった人が多数いて、政府や役場にものすごく大勢の人が集結し、デモのようになってしまった。バンコクでは困り果てた役人が、役場の門を閉ざしてしまったほど。
オットによると、オットはIDカードに紐付けされた過去の起業履歴が有効になっていて、『あなたは自営業なので収入を断たれていません』という判断をされたのだとか。しかしその仕事はかなり前に廃業届を出しており、今はその仕事の跡形もない。なのに国のAIはそんなに大昔のものを引っ張り出して、しかも廃業のところには目もくれず、受給資格なしという判定。
他にも本業が農家、副業で歩合制の仕事、という人にも支給されてしまったり(農業は収入減になるという評価をされないので本来は受給資格はない)、農家の息子で親からは独立して会社勤めをしているのに実家が農家だから支給資格なしという判定をされてしまった人がいたり。
タイのAI、スピードよりも内容を重視しようよ、という感じ。

それでクレームが多発したので政府は不手際を認め、市民には4月の上旬に再び申請の門戸が開かれた。
もちろんウェブ申請で、またいろいろと入力する項目があったとのこと。
再申請を終えたオット、『今度は役場の担当者が家まで確認に来るんだってー』と言っていた。タイにはよくあることで、私がビザ申請をしたときもそうだったのだけど、公務員はしばしば個人宅を訪問する。書類の内容と生活の実態がかけ離れていないかを確認するために。
だけど今回の場合は何万、何十万という申請者がいるわけで、それをいちいち訪問していたのでは支給まで何ヵ月かかるのやら。

と思っていたら、翌週あたりにオットの口座に5000バーツの振り込みがあった。役人の訪問や電話もなかったのに。まあ、オットの場合は毎年収入の申告も役場に直接出向いて数字の確認をしながらやっているのでグレーな部分はなかったのだろう。
仮に役人がオットを訪問しても指摘できるような不備もなければ袖の下もない。メリットがないところには訪問しないのがタイ式かもしれない。

そして5月下旬にも5000バーツの振り込みがあり、きっと今月末にも最後の支給があるはず。

タイは依然として緊急事態宣言発令中なのだけど、行動制限は徐々に解けつつある。
それによって仕事を再開できる人もいると思うのだけど、そういう人への支給はどうなるんだろう。黙っていれば失業中(休業中)とみなされて支給されるのか?
このへんもタイ政府のITがどれほど正確なのか、ある意味見ものだと思う。

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