昨日はオットも私も何も用事のない日だった。
いつもだったらくだらない(とはオットは思っていないかもしれない)LINEメッセージが届きそうなものなのに『おはよう』のメッセージが1通届いただけで、そのまま1日が終わってしまうのではないかという雰囲気が感じられた。
なので電話をかけてみた。
しばらく他愛のない話をした後に、オットは『今日は元気がない』と言う。
前日に同業の男性が亡くなったという連絡があったそうで、その男性はオットとは同い年、私も一昨年あたりに1度会ったことのある(と言っても挨拶程度だったけど)人で、生活スタイルとしてはオットと同じ独居だったとのこと。
その人も他のタイ人と同じようにいろいろな人とLINEでやり取りをしていて、ある時刻からパタリと通信が途絶えてしまったので心配した親戚だか友人だかが家を訪ねたら彼は家の中で倒れていてもう手遅れだったとのこと。
独居だったので倒れるまでの様子や詳しいことは誰もわからず、今はチェンマイでは新型コロナウイルスの感染者が異様な勢いで増えているのでそちらの可能性も捨てきれず、彼のコロナ陰性が証明されるまでは弔問にも行けないのだけど検査機関も余裕がないので結果が出るまでに時間がかかるかもしれないと。
オットによると先月は同業の女性が交通事故で亡くなられたそうで、LINEのグループ内では2ヶ月連続で仲間が亡くなり、みんなが肩を落としているということ。
オットの同業者ならだいたい皆同じ状況で、コロナの影響で半失業状態。政府からの生活支援金支給も去年の4月から3ヶ月のみ。なので収入面でとても厳しい生活をしているのだけど、タイでも親しい人が亡くなったら日本で言うところのお香典を出す。コロナ禍で仕事がなくても、今回もお香典をゼロにはできない間柄なので、どうやらグループで話し合って全員一律の金額(平時より低めに設定)にしたようだった。
一説によるとタイ北部ではこの何年かで葬儀にかかる費用がどんどん上がって(物価の上昇もあるけれど、タイ人の見栄っ張りな性格によるものも結構な部分を占めているらしい)、平時であれば相当な費用がかかるらしいのだけど、チェンマイでは昨年後半からのコロナ感染拡大があるので葬儀の規模としては一時期よりは簡素になったかもしれない。そうだとしてもお葬式を出す家はかなりのお金を工面しなければいけないわけで、オットのまわりの人も『お互い様』の精神で事を運んでいるようだ。
↓こちらは数年前のオットの親戚の葬儀のときのもの
お寺の一角に砂山を作る
↓右の木箱にお香典を入れる
遺影は20年以上前の写真か?
↓人の集まるところには宝くじ売りがやって来る
それでも先ごろ亡くなった男性がもしもコロナに感染していたら葬儀も通常どおりにはできないだろうし、皆さんもお別れの挨拶に行けないだろう。そういう不安もオットが元気をなくしている理由だと思う。
そしてたまたまその男性とオットは同い年だったという、親近感からくるショック。
それに仕事がなくても仲間が亡くなればお香典は発生するというストレス。
幸いなことに昨日までのタイの大型連休の間のオットの仕事は前半は全キャンセル、後半は一部キャンセルで辛うじて多少の収入が発生したのでお香典の急な支出に困ることはなかったけれど・・・。
独居のオットにもしもの事が起こったら、日本にいる私がチェンマイに辿り着くにはタイ大使館への渡航申請から始めて、バンコクでの隔離検疫、他にも保険加入やPCR検査など、いろいろやるべきことがあるので半月くらいの時間が必要になる。
急を要する状況のときに半月・・・
そんなことにならないように、用事がない日も『今日は用事がありません』と言って電話をするのは大事だなぁ、としみじみ思った。