チェンマイよりみちの記録

タイ・チェンマイに寄り道する人生を選択した個人の記録です。私、ヨリミチ(仮名)が日本やタイからお届けします。

長いものに巻かれてみる

リフォーム中のオットの自宅はまだ工事が完了せず、そろそろ3ヵ月になる。

まあ、急いで雑に作業されても困るし、ヨリミチが思っていたいちばんの問題は雨漏りだったので、長期間職人さんに出入りしてもらえればその間に雨も降るだろうし、そこで屋根や壁の不具合が見付かれば最善の対処をしてもらえるかもしれないので、『のんびりでいいですよ』というのはそういうことを考えると悪くはない方法だったと思う。

が、工事が終わらないうちにオットの姉の友達がその家を買い取りたいという話をしてきたのは想定外で、でもオットが満足する金額を提示してくれば売ってしまうのも有りなのかな、と思っていた。
けれど、いろいろ話を聞いてみたら『友達が買いたい』というよりは『姉が売りたがっているようだ』というほうが大きいような気がしてあれこれ想像を巡らせてみたのだけど、でもヨリミチはオットの配偶者であるけれどもタイでは外国人なのでそもそも不動産の取得には制限があるし、それ以前にタイ語はできない、法律も理解していない、お金があるわけでもない、しかも家はオットがヨリミチと知り合うよりもずっと前に買ったものだし、という手出し口出しのできない立場なので静観するしかなかった。
実は家の話が出る数ヵ月前にはその姉が『弟にお金をつくる』という謎の名目で自分の友達の親戚にオットの車を売ってしまったのだ。
その直前にオットは娘が数年使った車を譲り受けたような状態になっていたので姉はオットの車を売ったのかもしれないのだけど、『娘が使った車』と言っても名義はオットの前妻で、前妻が『それ、私が使うから』とひとこと発すればオットはその車を使えなくなるかもしれないのに。
でも姉にはどういうコネがあるのかわからないのだけど、普通では考えられないような金額で相手に買い取ってもらい、オットは一応満足というか納得はしたようで、それで得たお金で家のリフォームをしようということになった。

が、リフォームを始めた途端に今度は『友達に家を売らない?』などという話をオットに持ち掛ける姉って・・・。自分の弟からどんどん物を奪って最終的にどこに着地させたいのかよく解らない。何かに嵌めようとしているのか・・・?!

もしもヨリミチがオットのような目に遭ったら『もう関係ないからほっといて!』と言って自分の財産を守るだろうし、仮に何かを手放すことになったとしてもコネではなく業者を通すと思う。

オットもオットで自分の財産を守りたい気持ちはあるのだけど、十代のときに相次いで両親を亡くし、そんな状況の中で生活の面倒を見てくれたり学校の手続きをしてくれたりしたのは姉たちで、この3番目の姉がいちばん奔走してくれたので、それがなければ自分はまともに学校にも行けなかったし碌な大人にならなかっただろうと回顧している。
なので自分がきちんと大人になって仕事をしたり結婚したり子どもを持ったりできたのはその姉のおかげというのがオットの心の根底にある。
そして先月の誕生日のとき、『僕にはお父さんもお母さんももういないから、育ててくれた感謝をお姉さんにしたい』と言って2人で向き合い、お経のような呪文のような、ヨリミチには到底判らない言葉でのやり取りがあった。

こんなことをされてはヨリミチ単身で売却反対運動なんてできないし、オットは『今の自分があるのはお姉さんのおかげ』と思っているのでその感情がマックスまで膨らんだら姉とオットが結託してヨリミチ掃討作戦に出るかもしれない!
今の姉の強引さには呆れるけれど、若いときに自分も親を失って大変なのに弟の親代わりになってくれたことは事実なので、そのへんはヨリミチも感謝というか尊敬の念はあるわけで。

だからオットも『自分を育ててくれたお姉さんにこれまで何も恩返しができていないから、家を売ることで何割かのお金がお姉さんに渡ってそれでお姉さんがハッピーになるならそれもいいかなと思う』というような気持ちもあるようで、オットはオットなりの葛藤があるらしい。

なので家を売ることに関しては『家族の年長者には逆らえない』慣習もあるけれど、感謝の表現手段のようなことになってオットの気持ちの整理ができるならそれはそれで良いんじゃないかな、という考えも浮かんできた。

するとおかしなもので、姉は自分の娘のビジネスのことで急に用事が発生してそちらに時間を割かなければならなくなり、オットの家のことはほぼ保留になった。
そして娘が体調を崩したとかで姉の負担が激増し、それが落ち着いた頃には姉はビザの関係でタイを去る日が迫っていた。

なので姉は今は日本にいるのだけど、さすがにこんな状態では家を売るとか売らないとかの話はできないだろう。自分の家のことならともかく、弟の家だし。
姉は9月だか10月にまたチェンマイに行くと言っていたけれど、今度は友達と一緒らしいので弟の家を売る話は進められないだろうなぁ。
(希望的観測)

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