先日、履いた覚えのないヨリミチの靴が玄関の三和土に出ていた。
その靴は寒い時期は履かないので下駄箱に入れてあり、5月から10月くらいに履くようなものなのでそろそろ出そうかな、という頃だった。
なのになぜか出されていて、しかもうっすらと汚れているような。
なのでもしやと思って母に『あの靴履いたー?』と聞いてみると、何を聞いているの?というような感じで『え?履いてるよ』と答えられた。
別に履かれるのは構わないし、履かれて汚れたのなら仕方ないな、と思ったのだけど、母は腑に落ちない様子で『だから何?』みたいな感じ。
もしかして母はあれがヨリミチの靴だと認識していないの?と思ったので、念のため『あれ私のだよ』と言ってみた。
すると母は『えっ、そうなの?!』
あのグレーの靴はヨリミチが自分で履くために一昨年あたりに買ったもので、そのときもいつの間にか母が使っていた。
そのときは『軽くて良さそうだったから試してみたかったの』とのことだった。
確かにあの靴は軽い。
それで母に『同じのを買ってあげようか?』と言ったら『あの色は明るすぎて買う気になれない』というようなことを言うので『色違いがあるよ』ということで母には黒を買った。
なので母は黒のほうを頻繁に使い、いろいろなところに出掛けた。
でも見た目が涼しげだし素材的に冬場はスースーして履くと足先が冷えるので寒い時期は下駄箱に入れることになる。
昨年の春は母は自分の靴(黒)を下駄箱から取り出して履いていたのだけど、今年はここだと思った扉を開けたら灰色の靴しか見当たらなかったので『きっとこれは自分(母)のだろう』と思い込んでしばらく履いていたらしい。
買う話になったときに『こんな色のは履けない』といっていたはずなのに。
そんな言葉を吐いたことも今では覚えていないだろうし、サイズは黒と同じなので履いてしまえば違和感はないのだろう。それで何日か履いていたらヨリミチに『あの靴履いたの?』と聞かれるし、質問されていることの理由がわからなかったはず。
実家玄関の下駄箱は作り付けの物と買い足した物があり、母が開けたのは作り付けのほう。
最初にそちらの扉を開けて、形に見覚えのあるグレーの靴があったから履いたのだろう。
でも母の靴が入れてあったのはもうひとつの下駄箱。
仮にどっちの色が自分の靴だっけ?ということになったとしても、ヨリミチは靴の踵をつぶさないのでそこを見ればわかる。
この靴は踵を踏んで履いてもいいですよ、という仕様なので踵をつぶしても間違いではないのだけど、ヨリミチがそうやって履いたとしてもしまうときには踵を定位置に戻す。
なので色がどうであっても踵がつぶされている靴は母、そうでないものはヨリミチということになる。
それにしても買うときにかなりの勢い(?)で『その色は趣味じゃないからー』というようなことを言っていたのに、冬を2回越したら自分の靴だと思い込めるなんて・・・。
趣味・好みってそんなに変わるものなのか?