タイ語で『9月』はガンヤーヨン(กันยายน)。
そのガンヤーヨンとどのような関係があるのかわからないのだけど、マン・ガンヤー(มันกันยา)というものがある。『マン』は芋、『ガンヤー』はガンヤーヨンの省略形。
『マン・ガンヤー』と言えばタイ人はみんなこれを思い浮かべると思う。
↓
左上:えびせんべい 右上:魚のせんべい 下:マン・ガンヤー
以前オットと友達がマン・ガンヤーについて話をしていて、『どうして「9月芋」っていう言い方をするんだろうね』とか『ところでこの芋ってどこで栽培しているんだろうね』とか『そもそもマン・ガンヤーってスーパーマーケットに売っていないし、それどころか芋の状態で見たことがないよ』ということになった。
たしかに、いつも見るのは揚げられてあって、いわゆる芋の状態ではない。『マン・ガンヤー』というのだから芋だというのはわかるのだけれど、一体どのような芋なのか・・・。
あるときオットの家からバイクで10分くらいのところの定期市で、マン・ガンヤーをその場で揚げて売っている屋台を見つけた。
作りおきではなく、そこで揚げているので変な油臭さがない。(何日かすれば変化するのは仕方ないが。)
私はマン・ガンヤー、オットは魚せんべいが好きなので、その市場には毎週のように通った。
あるときに1週空けてしまったら、奥さんに『先週は来なかったわね』と言われてしまった。私のような外国人がローカルな市場でローカルな食べ物を毎週買うので早々に覚えられてしまったのだ。
顔を覚えられてしまったのなら少し突っ込んだ話をしても大丈夫かな、と思ってついに『マン・ガンヤーとはナニモノなの?』ということを聞いてみた。
すると答えは簡単、じゃがいもだった。
どうりでじゃがいもの味がしたわけだ。
だけどポテトチップスやフライドポテトとは形状が違う。
ご主人に聞いたら、じゃがいもをスライスして塩水に晒し、それを干したものを揚げたのがマン・ガンヤーだということ。ご主人は『揚げる前の状態のもの』を問屋から仕入れているらしい。
なるほど、それで一般市民が芋の状態のマン・ガンヤーをスーパーマーケットで目にすることはないわけだ。
↑これを揚げると
↓こうなる
何年も気になっていたマン・ガンヤーの謎が解けてすっきりした我々は毎週水曜日にその市場に通い続けた。
ところがあるとき、家のすぐ近くの日曜日の市場に行ったら雑踏の中で声をかけられた。
なんとそれはマン・ガンヤー屋の奥さん。日曜日にはここの市場で揚げているのだとか。場所を聞いたら屋台は道路のすぐそばだという。
オットと私は野菜などを買った後にそちらに向かうとあのご主人がマン・ガンヤーを揚げていた。
もう、お互いに顔を見てびっくり。
私たちはすぐそこに住んでいるんですよ、なんて話をして、マン・ガンヤーや魚のせんべいを買った。
それまでは何度も遠くの市場まで出掛けていたのに、こんなに近くでも買えたとは。
でも彼らはイベントなどがあるときはそういうところにも出店するらしく、そのときは市場には来ないので日曜日の市場には毎週出店するとは限らない。なので確実に買うには水曜日の市場に行くほうがよいのだけど。
でも昨年からのコロナ禍で、ロックダウンのときに曜日の定期市は長いこと閉鎖され、定期市の再開が決まっても以前と同じ規模では市場を開くことができなかったりお店が廃業していたりして、元の状態に戻るかどうかは誰にもわからない。オットによるとロックダウン以降にあのマン・ガンヤー屋を見ていないとのこと。
育ち盛りの男の子が2人いる家族なので、もしかしたら故郷にでも帰っているのかもしれない。
私がチェンマイに行く頃にはあのマン・ガンヤー屋にも戻ってきてほしいものだ。