タイでは日本で暮らすより3分の1とか2分の1とかの支出で暮らせると言われていた。
が、それも10年くらい前までの話だと思う。
それにどのように生活するかにもよる。
海外で日本食を食べる場合に日本よりも割高になるのは当然だし、自炊するにしても輸入品の調味料は高い。なので日本人がコストを抑えて暮らしたいのなら、食生活を現地の『並』で済ませられるかどうかというのが結構重要になってくる。
そして意外にも高いのが、紙。
ティッシュペーパーとか、トイレットペーパーとか。生産・流通のしくみはわからないけれど、日本で買うのと同じくらいの金額という印象で、服とか食器などと比べてみても、なんだか不自然に高い。(あくまでも日本人の目で見たら、という話。)
そんなに強気な値段設定なのだから、さぞかし高性能なのかというと、かなりそうでもない。日本の紙事情に慣れてしまうと数十年タイムスリップしたようなクオリティで、ゴワゴワするし、すぐにモロモロしてくるし、かといってトイレの水に溶けやすいというものではない。
そもそも季節性の風邪がないような国だから日本人よりも鼻をかむ回数は少ないだろうし、トイレだってもともとが手桶やハンドシャワーで始末をして布かペーパーで水を拭く様式(拭かなくたって乾いちゃうし)の国なので、紙が多少粗くたって特に問題ないのだろう。
というわけで、紙事情がなかなか進化しないのでは?という勝手な想像。
新聞紙はあるにはあるけど、一昔前の日本のように物を包んだり、ちょっと濡らして掃除に使うことはできない。とにかくインクが落ちるので、二次利用は考えないほうがよい。これは紙の問題なのか印刷技術の問題なのか・・・。
それと、牛乳も地味に高い。メーカーにもよる部分はあるけれど、1リットルパックは日本とほぼ同額。チーズやバター、生クリームとなると更に割高になる。
私は日々の暮らしに牛乳入りコーヒーが必須なので割高だと思いながらも買うけれど、あるとき価格重視でいつもより安い物を買ってみたらなんだか薄かった。
タイでは道路や農地に牛の姿がよく見られるのだけど、それは水牛だったり、畑作業や単なる雑草処理のための牛だったりして、そういえばタイで乳牛って見たことがない。だけど仮に乳牛がいたとしても、あの暑さの中では乳も出ないよなぁ、と勝手に想像して勝手に納得してしまう。
だからなのか、タイでは豆乳がかなり流通しており、スーパーマーケットやコンビニの棚にも豆乳のパック飲料が豊富にあるし、道端には豆乳の屋台がそこかしこにある。そして豆乳は安い。(但し砂糖をたっぷり入れて甘くしてあるのがタイのスタンダードなので注意。)
私は豆乳も好きなので、ある時期に豆乳ばかり飲んでいた。朝はパートンコー(小さな揚げパンみたいなもの)と豆乳、昼はパックの豆乳、夜はハトムギや小豆などが入った豆乳、など。
牛乳より安上がりでいいかも~、と思っていたのだけど、気づいたらなんか体調不良。過去にも日本で同じような症状を体験したことがあったので、『これは乳製品不足だ!』と我に返り、慌てて牛乳を購入した。私の体には乳製品は結構大切な要素らしい、というのが本能的感覚。
なのでそれからは牛乳は多少高いと思ってもケチらずに買うことにした。
そしてタイトルの『日用品の価格』というところとは少しずれてしまうが、タイ人がコロナ禍のロックダウンでまず何を買いに走ったかというと、インスタント麺と卵。
なぜ卵なのか、最初はその理由がわからなかったのだけど、私の勝手な想像では、タイ人は基本的に自炊はしないので料理ができない。普段だったら屋台や食堂に食べに行けば良いのだけど、急なロックダウンでそういったところも閉まるかもしれないと思ったときに、自宅で何を調理できるのかというと、茹で卵。もう少し発展させれば卵焼き、ということになるかもしれないが、それにはフライパンと油が必要。茹で卵なら鍋さえあればどうにかなる。それに最近は電子レンジで使える調理器具もあるし。
そんなわけで春先のロックダウン直後には卵が飛ぶように売れて品薄になったり、庶民が卵を買い漁るのをよいことに法外な値付けがされたりして少々問題になった。
だけどちょっと立ち止まって考えてみればロックダウンになったからといって鶏が卵を産まなくなるわけではないし、逆に観光客をはじめとする外国人滞在者が減って消費人口が減るのだから、普段どおりに過ごしていれば供給が止まることはないと思うのだけど・・・。
米騒動ならぬ卵騒動がタイ各地で発生し、そのときは『常識の範囲を越える値付けをしたら罰金を課す』という条令が出たらしい。
そんなこともあって、しばらくして卵の値段は元に戻った。
というか、コロナで鶏が減ったりしたわけではないので鶏卵の生産量は変わらず、そしてタイ国内の外国人観光客は激減し、ロングステイヤーなども母国に帰ったりしているだろうからむしろ鶏卵の消費量が減って在庫過剰になり、高値では売れなくなったというのもあるのだろう。