あんなタイトルをつけてみたけど、そんなでもない内容だったりして。
先のチェンマイ滞在は便宜上3月中旬の帰国便のチケットを取ってあって、現地で日にちを変更して4月に帰って来るつもりだった。
住民票がまだ日本にあり、クレジットカード、携帯電話、銀行口座が日本のものだとやはり1年に何度かは日本に戻って契約の確認・見直し、郵便物の確認などをしたほうが良いから、というのが理由のひとつ。
それと私の場合は出発時にまだタイで発給される居住ビザを持っていなかったので、生活の拠点が日本だった。ビザが取れればある程度日本のものを整理して生活拠点をタイに移す、という考えがあったのだけど、そのビザを申請するための渡航だったので、どちらにしても春には日本に戻る必要があった。
それでめでたくタイでのビザは発給されたのだけど、その後まさかの新型コロナウイルス騒動。
未知の物体が世界的に発生してしまったということで、そう遠くないうちに旅客機は飛ばなくなるだろうというのは想像できた。
そういう状態になったときに、私とオットはどういう身の振り方をしたらよいのか・・・。
正解がある問題ではないので結局は本人次第なのだけど、その時点で2人がどこにいるのかというのも答が変わってくる要素だと思った。
私たちの場合はタイにいたわけだけど、仮に2人揃って日本にいたとしたら?とか、2人で他の国にいるとしたら?とか、それぞれが自分の国に、つまりオットはタイに、私は日本にいる状態のときに新型コロナウイルスが発生していたら?とか。
今でもコロナウイルスのワクチンや薬が開発されていないので世界中がそれらを待ちわびている状態だけれど、その当時は今よりももっと不安要素が多かったような印象で、どういう人が感染しやすいのか、感染したらどういう症状が出るのか、致死率はどんなものなのか、今でもわからないけど今以上に情報がなく混乱していた。
世界がそのような状態のときに、果たして私はタイに残るべきなのか、日本に戻るべきなのか。
居住ビザが取れたのだから、タイに滞在するのは法律上問題はない。
だけど医療保険(海外旅行保険の範囲内)は4月の中旬で失効してしまう。しかもコロナウイルスに対しては保険でカバーできるのかどうかはわからない。各保険会社がコロナウイルスに関する規約を追加で作成しているような段階だったので、加入プランによっては自費治療かもしれない。しかもタイでは外国人が医療機関にかかっても、満足のいく治療を受けられるとは限らない。
4月中旬以降もタイに滞在するのなら、外国人用の医療保険に加入する必要があったが、世間がそういう状態では保険料も跳ね上がるとか、保険料が上がらないとしてもコロナウイルスの感染症は除外とか、加入時にさんざん悩むことになったと思う。
それと、日本に戻る選択をした場合に、予約済みの航空券が使えない(予約便もしくは航空会社自体の運休の)可能性があるというのは想定していたので、日本への片道航空券は買わなくちゃならないな、というのは頭にあった。
つまり、タイに残るとしても日本に戻るとしてもそれなりの出費はあるわけで。
感情論でいえば、私とオットは夫婦であり、できれば離れたくない、というのがあった。
だけどタイに居残って万が一コロナウイルスに感染してしまったら、保険が効くかどうかもわからない、入院したとしても言葉が不自由、保険が適用されればつけてくれるであろう日本語通訳だって、新種のウイルスの危険性を考えれば例外的に『なし』と言われるかもしれない。そうなったら、カタコトの英語と超カタコトのタイ語で乗り切るしかない。
そんなことになってしまったら、神経質なオットのことだから、まるで自分が病人のように非常に消耗するだろう。
それに、医療保険に加入してタイに残ったとすると、日本への帰国がいつになるのかがまったく読めない。そうすると完全に収入がなくなるどころか日本で払うべきものも払えない、行政からのお知らせなども見られない。スマホだっていつまで使えるのか、引き落としができなくなった時点でほぼアウト。クレジットカードの支払いだって、延滞に次ぐ延滞になってしまう。
そうなると、ただ単にオットと一緒にいたいだとかビザがあるのに滞在を切り上げるのが勿体ないなんて言っていられない。
オットもオットで、私が超スピードで悩んでいるのと同じくらいいろいろ考えていて、私がタイに残ったら自分は何をするべきか、とか、コロナウイルス感染症へのタイの病院の対応とか、私とは違う角度から情報を集めていた。
だけど決め手となったのは、オットが友達から言われた言葉。
奥さんは日本人なんだから、今は日本に帰してあげるべきだよ。タイに残っても未知のウイルス相手ではタイの病院が日本人にどこまで手を尽くしてくれるかわからない。今の状況では不正や賄賂がない、健康保険制度もしっかりしている日本のほうが安全だよ。愛しているからといって一緒にいることが命取りになるかもしれないのは、それは本当の愛じゃないよ。
ということで、第三者の意見があったことで私たちも冷静に考えることができ、私は日本に戻ることにした。
この騒動が起こるまでは、タイ人と日本人の結婚にはよくあるお金目当ての結婚とか海外暮らしへの憧れということでの結婚とか国際結婚という響きへの憧れでの結婚とか、お互いに『自分が相手じゃなくてもよかったのか?』という疑念がはっきり言ってゼロではなかった。
だけど一応相手のことを突き放さずに時間がないなりに試行錯誤して答を出したのだから、この結婚はニセモノではないのかな、と思う。
一応ね。