チェンマイよりみちの記録

タイ・チェンマイに寄り道する人生を選択した個人の記録です。私、ヨリミチ(仮名)が日本やタイからお届けします。

タイ入国後のTM30というシステム

タイにある程度昔からあった法律で、外国人が宿泊するときには宿泊施設が入国管理局に外国人の氏名などを届け出なければならない、というのがある。
その書式が『TM30』なので、ティーエム30(英語)とかトーモー30(タイ語)と言っている。

ホテル等の宿泊施設ではチェックインの際にオンラインで入国管理局に即時登録しているらしいので、個人的には何もしなくてOK。
ゲストハウスなども、オンラインシステムがあれば問題ない。
難しいのが民泊とか一般家庭で、そういうときは書類を揃えて入国管理局に出向かなければならないのだけど、このシステムがヘン。

法律上は家主の義務であることなので、家主(タイ人)が家屋の登録票(日本でいう住民票と住宅の登記簿が一緒になったようなもの)とIDカード、滞在者のパスポートなどを揃えて申請する。
滞在者の入国24時間以内に申告すること、という規則になっていて、違反(無申告・遅延)すると罰金が課せられる。

ということで、この規則どおりに解釈すると、違反があったときに罰金を課せられるのはタイ人(家主)のはずなのだけど、ほとんどの場合罰金を払うのは滞在者。入国管理局からのお咎めを受けるのは外国人であることが多い。

チェンマイの入国管理局内では『TM30 for foreigners』つまり『外国人の滞在登録はあちら(3階)』という案内があるが、『外国人がするべきTM30』という受け取り方もできる。
TM30を届け出る義務はタイ人オーナーにあるのに、そのコーナーでタイ人が順番待ちをしているのをあまり見たことがない。

しかも数年前に厳しく取り締まったにもかかわらず、すでに形骸化しつつある。
TM30の申請をしたら、外国人はその半券をもらって、タイ滞在中は保管していなければならず、次に出国・再入国して同じ場所に滞在するときには入国管理局に出向いて『TM30をアップデートしに来ました(滞在先の変更はありません)』と言って前回の半券を提示する。するとその半券の日付けの上にボールペンで線を引き、その日の日付けをちょこちょこっと上書きされる。コンピューター画面で何かを確認しているような動作も見られるのだけど、何を確認しているのかはわからない。

このTM30、外国人の動向を把握するためのシステムのようで、不法滞在や不法就労の対策だと思うのだけど、私のような個人宅での滞在者には面倒な点がある。
入国24時間以内の申告はともかく、たとえば他の町に旅行をして、そこでホテルに宿泊すると、ホテルのオンラインで入国管理局に私の氏名と宿泊場所が登録される。そしてチェックアウトすると、宿なしの風来坊になってしまうので、チェンマイに戻ったらまた入国管理局に行って紙のTM30をアップデートしなければならない。
私の場合、オットの家が入国管理局にわりと近いので『ちょっと面倒だなぁ』くらいで済むのだけど、郊外の家とか管轄はチェンマイの入国管理局だけど他の県の家に住んでいる人はこれだけで一日仕事になってしまう。
しかもタイ人の配偶者であろうがなかろうが、滞在ビザを持っていようがいまいが関係なく、個人宅に滞在・居住する外国人はTM30の登録をしないと違法。これだけでも融通の利かないシステムだなぁ、と思うのに、住宅(戸建てでもマンション等でも)を所持している外国人も、この規則に則って『自分がオーナーで居住者です』と申請しないといけないのだとか。
もう、わけがわからない。
そして空路で出国するときの出国審査の際に、オンライン又は紙のTM30が確認できなかった場合はその場で罰金を課せられる(結局外国人に払わせる)ので、半券はパスポートに留めておくのが良い。
長年タイに滞在しているお年寄りなどはTM30の取り締まりが厳しくなったことを知らず、出国するときや用事があって入国管理局に行ったときにTM30の未届けが発覚して高額な罰金を徴収されたという話もある。

そんなTM30、タイ人の家主にも外国人にもすこぶる不評なので、廃止嘆願の動きが出てきているらしい。
おまけに出入国カード(TM6)も廃止になるかも、という情報もある。
だけど面倒だからという理由に理解を示して政府が廃止を決定してしまったら、外国人は野放し状態じゃないの?

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